↑白河楽翁(松平定信)書の扁額
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金沢の兼六園は、水戸の偕楽園、岡山の後楽園と並ぶ日本三名園の一つ。
江戸時代の代表的な林泉回遊式庭園(中心の池泉を回りながら観賞する庭園)です。
「兼六園」という名前は、優れた景観の代名詞「六勝」を兼ね備えた庭園の意味。
六勝とは、[宏大(こうだい)][幽邃(ゆうすい)][人力(じんりょく)][蒼古(そうこ)][水泉(すいせん)][眺望(ちょうぼう)]のこと。
中国の書『落陽名園記』(中国の名庭19を解説した書)の一節からとって、
白河楽翁(松平定信)がつけた物たものだそうです。
田圃の勝、相兼ねる能ざるは六。 園圃之勝 不能相兼者六
(素晴らしき庭園にするために兼ね備えようとしても、できないものが6つある。)
宏大を務すれば幽邃少し。 務宏大者少幽邃
(広々(宏大・こうだい)さを表そうとすれば、静かで奥深さ(幽邃・ゆうすい)が無くなる。)
人力勝るは蒼古乏し。 人力勝者少蒼古
(人工的(人力・じんりょく)が勝ると、古びた趣(蒼古・そうこ)が少ない。)
水泉多きは眺望なし。 水泉多者無眺望
(水の流れや池、滝(水泉・すいせん)を多くすれば、遠くで眺めること(眺望・ちょうぼう)が出来ない。)
この六を兼ねるのは、ただ湖園のみ 兼此六者惟湖園而巳
(これを兼ね備えているのは(中国・落陽にある)湖園だけだ。)
命名通りなら兼六園は、中国の湖園と同じように、6つの要素が兼ね備わった庭園ということになりますが、実際はどうでしょうか?
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